歩き始めた人が、一番やりがちな失敗があります。
それは—— 突然、走り出してしまうこと。
私もやりました。
歩く研究を始めて、2か月ほど経った頃。 体が少しずつ動くようになると、走りたくなる衝動が出てきました。
頭に浮かぶのは、高校生の頃の自分。 軽く走れていた、あの感覚です。
実は5年前にも、 「フルマラソンを目指したい」 と思い、走り始めたことがありました。
そして今回も、同じように走ってみたのです。
いざ走ると、体は重い。 それでもスピードを上げたくなる。 1km 6分ペース。 心拍数は170を超えました。
そして、すぐにふくらはぎに痛みが出ました。 そこでストップ。 足を引きずりながら帰宅しました。
その後、3週間。 痛みが残り、歩く練習もできませんでした。
歩けないのは、本当にきつかったです。 せっかく動けるようになってきた体が、たった一度の油断で振り出しに戻る。 あの3週間で学んだのは、「焦って前に進もうとすると、結果的に後退する」ということでした。
ここで読者の皆さんにお伝えしたいことがあります。
「走るな、危険」
歩く力がついてくると、勘違いが起きます。 「もう走れる」と。
でも歩く筋肉と走る筋肉は、別物です。 着地の衝撃も、心拍数の上がり方も、まるで違う。 走り始めた瞬間、体への負荷は一気に何倍にも跳ね上がります。
私の体感では、 時速6.5kmあたりが「歩き」と「走り」の境目です。
時速6.5kmを分解するとこうなります。
100m 55秒 200m 1分51秒 500m 4分37秒 1km 9分14秒
そもそも、いきなり1kmは走らないこと。 まずは 200m(1分51秒) このくらいから始めるのが安全です。
200mなら、もし違和感が出てもすぐに歩きに戻せます。 最初の数週間は、200mを「走れるかどうか」ではなく、「気持ちよく終えられるか」で判断してください。
ふくらはぎ、すね、膝、股関節。 歩きと走りでは、使う部位の順番も負担のかかり方もまったく違います。 走り始めると、特にふくらはぎとアキレス腱に強い衝撃が集中します。 ここが鍛えられていない状態で走ると、私のように一発で痛める可能性が高いのです。
ちなみに、不動産広告でよく見る徒歩は 徒歩1分=80m(時速4.8km) という基準で計算されています。
意外と、ゆっくりですよね。 裏を返せば、時速6.5kmはすでに「早歩きより、もう一段速い」領域。 ここを超えた瞬間、体は走るモードに切り替わるのです。
次は 第12話 「走りたいと思った時が、走り出すタイミング」です。
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