1km=7分。時速8.57km。
実はこの速度、歩いては出せません。第35話でついに、純粋な「走り」の領域に入りました。
人間の体って、すごいと思いませんか。
歩く動作の延長で出せる速度には限界があります。それを超えると、両足が一瞬地面を離れる「走る」動作に切り替わります。歩きから走りへ。同じ脚を使っているのに、使い方が変わると別世界に入る感じがします。
私の体感では、1km=7分は長距離にちょうど良いペースです。
・1km=6分 → 10kmが限界 ・1km=7分 → 15km走れる
たった1分の差で、走れる距離が1.5倍になる。体への負荷は、ペースに比例しないんです。
ペースが上がると、必要な酸素量、関節への衝撃、筋肉の動員量、すべてが急に増えます。1分速くするだけで、心拍も筋疲労も「跳ね上がる」感覚。逆に1分緩めるだけで、楽さが「跳ね下がる」。長距離は、この「ちょうど良い谷」を見つけられるかがカギです。
心拍数でいうと140拍/分を超えてくる辺り。「気持ちよく走れてる」と感じるゾーンです。
このゾーンは有酸素運動として理想的で、心肺機能を効率的に鍛えられます。ジョギングの王道ペースと言っても良いでしょう。続けやすく、達成感もあり、頑張りすぎない絶妙な領域です。
ただ、ここに落とし穴があります。
歩いてケガをしなくなっても、走るとケガをする。これはよくある話です。
気持ちよく走れている時こそ、要注意。 体が慣れていない動きを、テンションで誤魔化してしまうからです。
「気持ちいい」は脳のサインで、必ずしも「体が大丈夫」のサインではありません。心肺は元気でも、膝・足首・アキレス腱は走る衝撃に慣れていないことが多い。気分の良さに引っ張られて距離を伸ばすと、翌日に痛みが出ます。
1km=7分は「ケガを意識すべき速度」と覚えておいてください。
最初は短い距離から。1km、2km、3km。少しずつ慣らしていく。歩きから走りへの移行期は、焦らないことが何よりの近道です。心肺と脚のバランスを揃えることが、長く続けられる秘訣です。
具体的には、ウォーキングを土台に、ジョギングを少しずつ混ぜていく方法がおすすめです。例えば、5分ジョグ+5分歩きを交互に繰り返す。それで体が慣れてきたら、ジョグの時間を伸ばす。いきなり全部走ろうとせず、歩きを「ご褒美」として残しておくと、長期的に続けられます。
歩きと走りは敵同士ではありません。同じ仲間です。どちらが上で、どちらが下でもない。自分の状態に合わせて切り替えられる人ほど、長く健康的に運動を続けられます。
次回は第36話「1km=6分のラン」です。

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