「自分の歩き方研究所」では、体は頑張った直後に強くなるのではなく、回復した後に強くなって返ってくると考えています。ドラゴンボールのサイヤ人理論を入り口に、距離を伸ばす過程、限界を越える挑戦、そして大会前の調整まで、4話を通して「鍛える」と「整える」のバランスを振り返ります。
【サイヤ人理論:壁の前で土台を固め直す】(第67話)
第67話「サイヤ人理論」では、距離を伸ばす過程で繰り返した「行ったり来たり」の経験を綴っています。10kmまでは壁を感じませんでしたが、15kmで膝・股関節を痛めて足踏み。12kmまで戻し、3回こなして13km、14kmと伸ばし、ようやく15kmをクリア。20kmでも同じ流れ、25kmも一度クリア後にもう一度20kmからやり直しました。「気づくと、以前の壁が当たり前の距離になっていました」という発見。一直線に伸ばすのではなく、ケガの一歩手前で戻り、土台を固めてから再挑戦する。50km大会まで8ヶ月のうち、25kmチャレンジは4ヶ月目。ここから先の伸びは急激でした。亀仙流が「良く食べて、良く学び、良く寝る」だったのも理にかなっています。
【超サイヤ人理論:安全圏から飛び出す】(第74話)
第74話「超サイヤ人理論」では、300分の壁を越えるために奄美大島へ。慣れた場所で慣れた距離をなぞるだけでは頭打ちになる、それを越えるには安全圏から飛び出す必要がある、という気づきです。目標32kmには届きませんでしたが、300分を達成。場所が変わり、空気が変わり、覚悟が変わる。その全てが重なり、いつもの自分より一段上の自分が引き出されました。
挑戦の副産物として、4つの経験値が追加されました。給水は柔らかい水筒250ml×2個を左右の肩に(右は水、左はスポーツドリンク)、トイレは早めに行く(我慢はフォームを崩す)、ウエアは腹巻きタイプで体の中心にスマホとイヤホン(左右バランス)、足指対策は5本指インナー+5本指厚手ソックス+つま先ワイドシューズ+インソールの四点セット。「挑戦の途中で生まれた課題が、次のレベルに進む鍵になります」。
【3週間前には体は決まっている】(第85話)
第85話「大会の3週間前で体は決まっている」では、超短期決戦と長期決戦の違いを整理。受験の前々日徹夜は、寝て起きたら頭に入っていた。しかし8ヶ月のトレーニングは前日では間に合いません。筋肉・心肺機能の向上には1〜2ヶ月必要なので、2月1日の大会なら1月1日には限界値が決まっている。
強化トレーニングは12月末で終了、1月は体調を整えるフェーズへ。ただし右肩上がりを維持するため、1月12日に最後の長距離26kmを実施。絶対条件は「ケガをしない事」、少しでも違和感があれば即中止。「勇気ある撤退も、自分の歩き方です」。26kmは大会4時間時点の予定地点。1月18日と25日の20kmは長距離歩行の感覚を忘れないための調整で、体力向上ではありません。「準備が整った時の静かな自信。慌てていない。焦っていない。ただ、待っている」。
【回復した自分を本番に届ける】(第87話)
第87話「大会前最後のサイヤ人理論」では、2ヶ月前の12月1日に30kmのピークを置き、12月21日・28日に25km、1月12日に26km、1月18日・25日に20kmと徐々に下げてキープした流れを記録。距離を落とす最初は「鈍るのでは」と不安でしたが、「ボロボロの時が強くなるわけではなく、回復した後に強くなって返ってくる」という結論に。
頑張る事と強くなる事は、似ているようで違う。よく寝て、湯船に浸かり、飲酒をやめ、呼吸トレーニング、装備準備、歩行プラン再構築、奄美3泊4日の計画。一つひとつは地味ですが、全部やっておくと当日の不安が消えていきます。「目標があるから、休める。休んでも罪悪感が出ない」。亀仙人の修行は強くする為ではなく、強くなる準備を整える時間。体に「強くなっていいよ」と許可を出す時間。
「サイヤ人理論の本当の意味は、ピークを作って、回復させて、本番に合わせる事。ボロボロの自分を本番に持っていく事じゃない。回復した自分を本番に届ける事」。当日の自分を信じられるかは、ここまでの自分を信じられるかで決まります。
超回復と発達は、頑張った瞬間ではなく、休んだ後にやってきます。距離を伸ばす時は壁の手前で戻って土台を固め、限界を越える時は安全圏から飛び出し、本番が近づいたら整える時間に切り替える。鍛える勇気と、休む勇気。両方が揃って、初めて自分の歩き方が前に進みます。

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