これまで何度も「お腹に力を入れる」お話をしてきました。 第9話、第16話、第17話、第18話。 他の回でも、体幹については繰り返し触れています。
ここで一度、おさらいです。
- 口から5秒かけて吐く
- 鼻から5秒かけて吸う
- その間、お腹の力は抜かない
これが基本でした。
最初の頃は、5秒の呼吸とお腹の力を両立させるだけで精一杯だったかもしれません。何度か練習を重ねるうちに、息を吐ききるところまで意識が届くようになり、お腹の力も「入れている」のではなく「入っている」状態に近づいてきます。この変化が、次の段階に進む前提になります。
では、歩行ではどうなるでしょうか。 歩けば心拍数が上がり、呼吸は速くなります。 5秒ずつの呼吸は、維持できなくなります。 それで大丈夫です。
呼吸のペースが変わっても、 お腹には「うっすら力を残す」。 これがポイントでした。
ここで言う「うっすら」は、息ができないほど締めるのではなく、お腹がペコッとへこまない程度のテンションです。歩いている最中に、ふと姿勢が崩れた時、腰が落ちた時、歩幅が乱れた時。そういう瞬間にお腹が抜けていないかをチェックします。
今の目標は、 **「自然とお腹に力が入っている状態」**で歩くことです。
できていますか?
ここで、再確認してみましょう。1kmの測定を行います。 タイムは気にしなくて構いません。 それよりも、「歩き方が安定している感覚」を確認してください。
具体的には、左右の足の接地音が同じくらいか、上半身が前後にぐらつかないか、終わった後に腰や膝に張りが出ていないか。1kmを歩き終えた時の体の感想こそが、今のあなたの「整い具合」を教えてくれます。
歩き始めの100mと、500mを過ぎた頃と、1km地点。この三つの場面で、お腹の力の入り方が変わっていないかも見てみてください。同じ強さで保てていれば、体幹がペース全体を支えてくれている状態です。
ここまで来ると、ケガの発生率は下がってきます。 体が一段階、安定してきた証拠です。 歩くことに余裕が生まれ、爽快感が出てきます。 それが「整ってきた」サインです。
お腹の力が抜けない状態で歩けると、脚だけで踏ん張ることが減り、体全体で進む感覚に変わります。疲れの出方も、脚の局所疲労から、心地よい全身の運動感へと変わってきます。立ち姿勢や階段の上り下りでも、同じ感覚が活きてきます。
次は、第29話「60分以上の歩行を楽しもう」です。

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