第8話 ホームグラウンド

同じ条件で1km歩ける場所を決めましょう。これが研究の第一歩です。条件がコロコロ変わる場所では、データが揃わず比較ができません。距離・路面・勾配・信号の有無——できるだけ毎回同じ要素で歩ける場所を探すのです。

ご自宅の近くに、公園やグラウンドはありますか?まずはそこを思い浮かべてみてください。半径1〜2km以内、徒歩や自転車で気軽に行ける範囲が理想です。遠すぎると往復だけで疲れてしまい、続きません。「ちょっと歩いてくる」と気軽に出かけられる距離感が、習慣化のカギになります。

公道は、信号や交通状況の影響を受けやすく、測定には不向きです。せっかくのペースが赤信号で途切れたり、車を避けるために遠回りしたり、横断歩道で立ち止まったりすると、純粋な「歩く時間」が分からなくなってしまうのです。さらに自動車や自転車との接触リスクもあります。

できれば途中に信号が無く、障害物の少ない場所が理想です。安全が確保でき、余計なストレスの無い場所。そこが、あなたの「ホームグラウンド」です。歩くことに集中できる環境こそ、自分の体と向き合うための最高の舞台になります。

例えば、直線500mの道があれば往復で1km。1周1kmの公園があれば、そこは最高の研究フィールドになります。河川敷の遊歩道、海沿いの遊歩道、学校のグラウンドの周回路、駅前の広場の周りなど、案外身近にちょうどいい場所が眠っているものです。一度地図を眺めて、候補を3つほど挙げてみてください。

私の場合、近所に1周約1kmの公園があります。そこをホームグラウンドにしています。最初に距離を測った時、「あぁ、ちょうど1kmなんだ」と分かった瞬間、急にその公園が特別な場所に変わりました。

同じ時間に歩いていると、何度も顔を合わせる方がいます。挨拶を交わす犬の散歩中の方、毎朝走っているランナーさん、ベンチで体操をしているおじいちゃん。お互い名前は知らなくても、顔を覚えて、軽く会釈する関係。その存在が、自然と自分の励みになります。「あの人、今日もいる」「今日は自分が先に来た」——そんな小さな確認が、続ける力になっていきます。

タイムを測り、ペースが分かってくると、「ここからあそこまで何分」「今日は少し速い」「今日は少し重い」と、コースの中の細かいランドマークごとに自分の状態が読めるようになってきます。

最初の街灯まで5分、次のベンチまで7分、給水場の角を曲がって10分。その道のりが体に染み込むと、時計を見なくても時間が分かるようになります。自分の変化が、数字と感覚で一致してきます。「今日は調子がいい」「今日は脚が重い」と感じる感覚と、ストップウォッチが示す数字がぴたりと噛み合った時、初めて「自分のペース」を体得した、と言えるのです。

歩行ペースの精度が、確実に上がっていきます。それは、ホームグラウンドという同じ条件で繰り返した結果でしか得られない財産です。違う場所、違う距離、違う日に歩いても、それは比べられないバラバラの記録になってしまいます。

ホームグラウンドを作りましょう。それは、あなたの研究所の”実験室”になります。同じ条件、同じコース、違う日の自分。比較ができるからこそ、変化が見え、成長が見え、課題が見えてくるのです。

第9話は「お腹に力を入れよう ― 体幹(コア)の話」です

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この記事を書いた人

歩き方研究員

49歳。
歩き方を研究して5年。
2026年
奄美ヨーリヨーリラン
53.47km完歩。

歩き方は才能ではありません。
研究すると必ず変わります。

このブログは
「自分の歩き方を研究する方法」を
100話で発信してます。

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