自分の歩き方研究の中で、繰り返し出てくるテーマが「歩行用筋肉」の使い方です。脚の前面(もも前)だけに頼らず、上半身のツイスト、股関節の起点、もも裏とお尻、そして体幹までを連動させる。「鍛える筋肉」ではなく「動きの中で必要になる筋肉」を呼び戻す視点です。本記事では上半身と下半身の連動から、股関節を起点とする動き、膝・股関節・足首の役割分担、ヒップヒンジともも裏・お尻、そして「動きを鍛えると筋肉は忘れない」までを7話で振り返ります。
【上半身と下半身の連動】
第19話「歩行時は上半身と下半身をツイスト」。右足が前に出る時、左腕が前に出る。体は中心から対角線に手足を動かしています。この時、上半身と下半身には自然なツイスト(ねじれ)が入る。少しだけ体をひねって歩くと、腿を高く上げなくても脚が自然と前に出る感覚が出てきます。上半身のひねりが骨盤に伝わり、骨盤が回転し、脚は持ち上げるのではなく上半身についてくる。50kmのような長い距離では脚だけで頑張る歩き方は疲れる。お腹に軽く力を入れながらツイストを意識すると、体全体で歩く感覚が出てきます。体幹が抜けるとひねりが途中で逃げ、脚はまた孤独に頑張ることになります。
【股関節を起点にする】
第24話「股関節を使う」。脚は太ももの付け根から下全体、足は足首から先。股関節は脚の付け根で、骨盤と脚をつなぐ関節です。腿の前で脚を上げる歩き方は回数が増えると負担が集中します。順番のイメージは「お腹→股関節→脚全体」。中心から動かす感覚です。膝が前に出るのではなく、股関節がスッと前に出て、腿・膝・足がついてくる。まずは100mで試す。歩道の白線一本、電柱と電柱の間で十分です。股関節は年齢とともに固くなりやすい場所。意識して動かすと可動域が保たれ、歩幅もキープしやすくなります。
【膝・股関節・足首の役割分担】
第26話「膝は正面に出す」。ジョイント・バイ・ジョイント理論では、足首は可動、膝は安定、股関節は可動、腰は安定、胸は可動と、関節は交互に役割が並びます。膝は前後の曲げ伸ばしが得意で、左右の動きは苦手な構造。だからこそ「膝は正面に出す」、内や外にグラつかせない。動きの主役は股関節と足首。立ち止まって膝を軽く曲げ、つま先と同じ方向に膝が向いているかをチェック。歩く前後に足首回しと股関節の前後スイングを習慣にすると、膝への負担はグッと減ります。
第27話「股関節と足首はよく動く関節」。膝は安定、股関節と足首は動かす関節。股関節は脚を前に運ぶ最初のスイッチ、足首は地面との接点を細かく調整し衝撃を逃がす。可動域がある関節がしっかり仕事をすれば、安定役の膝が必要以上に頑張らなくて済みます。体幹は連動を支える土台。お腹に力が入っていないと、股関節から動き出しても上半身が遅れて歩きが分断されます。「つながってきた感覚」があれば十分。一歩ごとに止まる歩きから、波のように続く歩きへ。
【ヒップヒンジともも裏・お尻】
第63話「ヒップヒンジで鍛える(もも裏・ハムストリングス)」。ヒップヒンジは股関節を蝶番として使う動き。底力は2つ。①前に進む推進力:後ろ足が地面を離れる時にもも裏が伸び、体を前に運ぶ。前の脚で引っ張るのではなく、後ろの脚が推進力の本体。②坂道で見せる実力:登りも降りもお尻ともも裏で受ければ、長距離でも脚が持つ。「もも前が辛い」のではなく「お尻ともも裏が使えていない」だけ。大きな筋肉に大きな仕事を、小さな筋肉に小さな仕事を。これが長距離で脚を残す基本です。
第64話「上り坂の腕振りとヒンジ」。坂道上りでは歩幅を狭く、腕振りは小さく回転するイメージで。もも前に頼らず、もも裏とお尻で体重を支え、ピッチを上げて歩く。腕振りを小さく回転させると、上肢のひねりが下肢に伝わり骨盤が前に出やすくなる。これが「上肢下肢のツイスト」。著者は奄美50kmの26〜28kmの坂道区間で1km=9分を保ち、何人か追い抜きました。坂を「越える壁」ではなく「身体を運ぶ装置の切り替え」と捉えれば、長距離での疲労蓄積が違ってきます。最初はゆるい坂で、歩幅を狭く・腕振りを小さく・股関節からヒンジ、の3つから。
【動きを鍛えると筋肉は忘れない】
第65話「筋肉を鍛えると動きを忘れるが、動きを鍛えると筋肉は忘れない」。脚・腹筋・背筋を部位ごとに鍛えるのではなく、1km=9分で歩くために脚力・体幹・腕振り・呼吸をコントロールする。これが自分の歩き方研究所のやり方です。部位だけ鍛えると、いざ歩く時にどう連動させるかが置き去りになることがある。脚は強くなったのに歩きがぎこちない、腹筋は割れているのに姿勢が崩れる。動きから入って、足りない部分を筋トレで補う順番なら、使い方を忘れにくい。最後に握力。握力は手だけの力ではなく、前腕から肩、体幹までつながる連動の結果。落ちてくると全身の出力も落ちている可能性。自分の握力を確認することをおすすめします。
歩行用筋肉は、部位ではなく動きで覚えるものです。上半身と下半身をツイストでつなぎ、股関節を起点にして、膝は安定・股関節と足首は可動と役割を分け、坂道はヒップヒンジともも裏・お尻で運ぶ。動きから入って筋肉を後追いで身につける。これが7話の答えです。

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