自分の歩き方研究、8ヶ月の答え合わせとなったのが、2026年2月1日の奄美ヨーリヨーリラン50kmの部です。距離53.47km、時間8時間22分14秒、1km平均9分23秒、時速6.41km、平均心拍数137拍/分。給水所・エイド5箇所、トイレ2箇所、約15分の休憩を含めた完走記録です。
第3話「大会実績」で記したとおり、フルマラソンを「走る」のではなく、50kmを「歩く」と選んだのは、自分の体を研究した結果の答えでした。53.47kmという距離は誰でもすぐに到達できる数字ではありませんが、「1km=9分23秒」というペースは、多くの人が目指せる範囲だと考えています。ここでは、本番に向けた4つの心構えと、実走5区間の記録をまとめます。
【本番に向けた心構え】
第71話「カッコつけるな ペースを守れ」。本番は積み重ねを出す場所であって、新しい挑戦をする場所ではない、と書きました。練習してきたことは出来る、練習していないことは本番でも出来ない。だからこそ装備、補給、呼吸、走り出しを練習と同じ条件で徹底して再現します。一度ペースが乱れると、立て直すために倍以上のエネルギーを使う。100か0ではなく、完走確率を上げるためのメリット・デメリットで考える。逆算して自分の得意な所で勝負を決めにいく、これが本来の戦い方です。ゴルフで言えば、得意な100ヤードを残すために1打目・2打目を計画する考え方と同じです。
第75話「見栄を張るな」。計画を狂わせる最大の要因として「見栄」を取り上げました。1人なら見栄は張らない。対象者が居るから見栄を張るのです。他人を基準にすると自分のペースは必ず崩れる。相手が速ければ無理がかかり、相手が遅ければ気が緩む。心拍数は嘘をつかず、見栄で走った日は必ずグラフが跳ねます。素直な自分のままで歩く。これが結論です。
第88話「タイムを縮めたい?それとも完走したい?」。本番前に目的の優先順位を言葉にしておく大切さを書きました。私は「完走」をメイン、「時間を味わう」をサブに設定。目的を一つに絞れると、計画が立ち、迷いが消え、本番で自分を信じられます。タイムを狙うのか、完走を狙うのか、その土地を味わうのか。目的が変われば計画は全く別物になります。
第92話「トイレが怖いなあ」。「必勝法は無いが必敗法はある」という投資の世界の言葉を引用しました。我慢の引き延ばし、コース把握の手抜き、不安の放置。必敗法を一つずつ外していけば、完走の確率は上がります。「ダメになっても、あと3kmで救済地点がある」という一行が頭にあるかないかで、足取りの軽さが変わります。当日のトイレ休憩は1回で済みました。
【実走の記録】
第93話「前半かかり気味 カッコつけた反省」。6〜7km地点で他のランナーを抜くためにペースを上げてしまった反省点を書きました。「軽快に颯爽と進む姿を見せようとする心」が動いてしまった結果です。給水所までの距離が短かったおかげで、ペースを戻せました。失敗を残す価値、ここに記しています。
第94話「中盤の充実」。10km〜25kmを1km=8分台で揃えた時間を記録。15km地点で右股関節に違和感が出ましたが、全身でカバーする歩行に切り替えました。あやまる岬、須野ダムの給水所を経由し、補給のリズムが身体に刻まれていきます。曇り空、適度な気温。神様からの贈り物のような気象条件にも恵まれた、充実の中盤戦でした。
第95話「26〜41kmの地獄」。ひとり旅の様相を呈した区間を書きました。給水所が41kmまで無く、左足首にも痛みが出ます。馴染みのない海岸沿いの山道。「戦う精神を呼び戻す」訓練と8ヶ月の積み上げが、この15kmを支えてくれました。
第96話「あと10kmが13kmに!」。当日のスタート遅延と距離追加で予備時間が0分に追い込まれた終盤を書きました。43〜45kmで8分台に上げて貯金を作り、ゴールは14時27分。制限時間の3分前でした。
大会は、研究の答え合わせの場所です。練習してきた範囲が自分のコントロール出来る範囲、その実感を53.47kmで確かめた1日でした。カッコつけず、見栄を張らず、目的を絞り、必敗法を外す。心構えを整えて本番に向かえば、序盤の反省、中盤の充実、後半の地獄、終盤の貯金、すべてが財産になります。

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